お正月中なので、いつものバカ話ではなく、少し心温まるお話を。
文章ばかりで読みにくくてごめんなさいよ。
実家にいた柴犬「マリ」ちゃんのこと。
「マリ」にはいろいろ思い出があるのですが、家族も泣いたという柴犬らしい=日本犬らしい飼い主に忠実なエピソード。
実家の父は本当に動物好きで、馬が飼いたかったけどサラリーマンでは経済的にも場所的にも無理なので、次善の策として好きな犬を飼うことにしたんだそうな。
本当に好きな人は世話も熱心にするもので、朝・夕・寝る前と3回の散歩は欠かさず、散歩から帰ればタオルで丁寧に拭きあげてブラッシング。
もちろん、いつも犬に話しかけて誉めてあげてコミュニケーションも欠かさない。
食事の管理から、駆虫剤の投与・ワクチン接種と健康管理にも気を配る。
いくら好きといえどもここまで世話するのは並大抵ではなく、密かに尊敬していた。
こんな父だから、犬たちも懐いていた。
この事件が起きたのは、すでに母ちゃんは就職して実家を離れて2年後。
そんな父が鼻の手術のために大分の実家から福岡の仕事関連の病院に、短期間の入院をすることになった。
犬に言ってもわからないだろうと特に説明もなしに入院した。
父はこの頃、マリを連れて散歩に行くと、いつも立ち寄る家があった。
マリは毎日立ち寄るので、そこの家の人にも可愛がられ、懐いていた。
父が入院してから毎日、母の目を盗んでマリが脱走。
この、毎日立ち寄る家に訪問し玄関先に1時間くらい待っていたそうだ。
そこの家の人は、黙って見守っていてくれたが
7日目に可哀そうになって「マリさん、お父さんきてないよ」と説明してくれた。
マリがその言葉の意味を理解したかどうかはわからない。
いつもはしょぼしょぼと帰宅するのに、その日はそのままいなくなってしまった。
母は父の入院中に可愛がっていたマリがいなくなり、近所の人にも手伝ってもらって探したが見つからない。
父も無事に手術が終わり、帰宅して名前を呼びながらかなり広範囲に探したが見つからなかった。
柴犬マリちゃん、本名は難しすぎて覚えていないいなくなって1か月が経過しさんざん探したが見つからず、父も母も諦めようとしていたこ頃マリの出身先の犬舎のオーナーさんから電話があった。
「小国(大分と熊本の県境)でマリにそっくりな犬を見たが、マリは大丈夫ですか?」と。
このオーナーさん、柴犬のコンテスト(日本犬保存会の品評会)の審査員をされているほどの方。
犬を見る目は確か。
まして、自分の家で繁殖した犬なので特徴はしっかり覚えている。
唯一の目撃情報なので、父と母はこのオーナーさんの案内ですぐさま小国まですっ飛んで行った。
小国で見守っていてくれたのは、なんと母ちゃんが小学校時代の校長先生だった。
定年退職されて小国でのんびり隠居生活を送っておられたんだそうな。
そこへ人懐こい瘠せ細った柴犬が現れた。
水は飲むものの餌をあげても絶対に口をつけない。
でも、淋しいのか呼べば近寄ってきて撫でさせる。
どんどん痩せて弱っていくので、どうにか餌を食べさせようと試みてくれていた。
そこへ駆けつけた父と母。
「マリーー!マリー!」大きな声で呼ぶと校長先生の家の裏の山から
ギスギスに痩せたマリが現れた。あばら骨が見えるほど痩せて
キツネみたいにフサフサだったしっぽが、痩せてすり切れた縄のように細くなっていたそうだ。
ヨロヨロしながら寄ってきて、父と母を交互にペロペロ。
マリを抱きしめる父と母。
そして持参したマリの好物の餌をあげると、むさぼるように食べたそうだ。
こうして、マリは無事に大分の実家までもどることができた。
犬には帰巣本能があるという。
でも、マリは父を追いかけて行ったこともない福岡まで行こうとしたらしい。
途中で体力が尽きて小国の山中で止まってしまったが、福岡まで行ってしまったら
父とすれ違いになったことだろう。
そして野犬と間違われて処分されていたかもしれない。
偶然、仕事先の小国でマリを見かけたオーナーさん。
保護してくれた元校長先生。
みんなの連携で、実家の大事な家族マリが救われた。
父を訪ねて三千里、お父さん子マリの冒険。
その後、マリが父と母に猫かわいがりされたのは言うまでもない。

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