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ドブに向かってしゃべる女

今日はチビ太を保護するまでの話。

チビ太を初めてみたのは、まだ3ヶ月くらいの仔猫の時。
7月の終わりの暑い日だった。
家の中にいたら仔猫の「ニャーニャー」という鳴き声が聞こえる。
外を見ると、黒い仔猫が鳴いていた。

先住猫のマリルに向かって、必死に鳴いている。
いつもは、他の猫が庭に入ってきただけで怒り狂って走り回るマリルがじっと子猫を見守っている。
と、いうより心配そうに見ている感じ。
めずらしいこともあるものだと、仔猫をよくみたら左の後脚に大けがをしていた。

これは大変だと庭に出たが、仔猫は怖がってドブの板が一枚はずれているところから、
ドブのなかに逃げ込んでしまう。
他の板の切れ目から覗きこんだり、餌で誘い出そうとた試してみたりするが、仔猫は遠くからみているばかり。
どうやっても手が届かない。

人間がいなくなるとまた庭に出てきてマリルを呼ぶ。
マリルもなんとなく悲しそうな顔で、仔猫を家の中から見ている。

ちょうどそのころ、マリルが調子が悪く動物病院に通院していた。
獣医さんに、怪我した仔猫が家の前のドブにいて、どうにかしてあげたいけど捕まらないと話すと、
「餌だけでも与えてみて。よかったらこの薬をいれてあげて」と怪我した足から病気にならないように錠剤をただで3週間分くれた。


それからが母ちゃんとその子猫=チビ太との持久戦が始まった。
餌をドブに置いておけば、母ちゃんがいなくなったら食べる。
それが分かったので、朝と夕方ネコ缶半分くらいにもらった錠剤を埋め込んで
「ちびちゃん、ちびちゃん、御飯だよ~」と何度も声をかけながら与え続けた。

決して5メートル以上は近付いてくれなかったが、続けていくうちに
その距離が少しづつ縮まった。
そうして2週間くらい経ったころ、やっと顔を見てくれるようになった。
餌も、母ちゃんが近くにいてもビクビクしていたが、食べるようになった。
食べている間、母ちゃんはすっとチビ太に話し続けた。

「ちびちゃん、おいしい?今日は脚はいたくない?」とか・・・。

まぁ、こうやって事情を説明すれば「そうなのか、そりゃ気の毒な仔猫だね」とわかっていただけると思うが、周囲から見たら猫の姿はなく、中年のオバハンが道端に座り込んでドブに向かってしゃべっているだけだ・・・。



               

                ドブに向かってしゃべり続ける女の図

見知らぬ人が振り返って見ていく。
となりの会社の社長が「奥さん、どうしたの?」と聞いてくる。

そりゃーそうだろう。
ドブに向かってしゃべるなんて普通はしないよな・・・。
きっと「あそこの奥さん、最近おかしいよ」と噂されていたと思う。



だからチビ太、君はマリルのように母ちゃんに決して噛みついたり引っ掻いたりするんじゃないぞ!
わかったか?



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comment

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No title

素敵なお話ですね。一生懸命助けてくれたチビ太ママさんの気持ち、チビ太君もわかってると思います。
猫同士の会話ってすごいですよね。ウチもよそ猫にはすごかった木久蔵とスパンキーが縁側に私たちを誘うのでついていったら生後二ヶ月くらいのアレックスがカリッカリに痩せてプランターの中で鳴いてました。三日間鳴き続けたので根負けして窓を開けたら飛び込んできて・・・。お兄ちゃんたちがチビの叫びを受け入れたんだなぁと。虎の時も同じでしたね。
縁があるってこういうことでしょうね。
チビ太君の幸せが猫好きの幸せですね。

No title

チビ太ママさんと チビ太くんとの出会い 感動ものです
ママさんの優しさが チビ太くんの心に響いてe-263ウルウル

親分マリルくんを 頼って助けを求めに来たのかしら?
大怪我するくらいの すごく怖い思いして
ここなら 幸せになれると…

よかったね チビ太くんv-351
優しいママさんと出会えて

DESTINY に違いない!

チビ太君が家族になった経緯が知りたいと思ってました。
そういう事だったのですね・・・。
チビ太君の怪我は悲しい過去ではあるけれど、チビ太ママと運命の出会いをして、小さな命が繋がったことは幸いでした。

        
きっと、マリル君が導いてくれた出会いだったのかも知れませんね☆           *:;;;;;;:*☆*:;;;;;;:*☆*:;;;;;:*☆*:;;;;;:*☆*:;;;;;

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チビ太君は幸せですね

うるうるしちゃった。
チビ太君は幸せものですね。大けがをして不安でたまらなかっただろうチビ太君に、根気よく声をかけてくれたチビ太ママさんの優しさが伝わったんですね。
命の大切さ 出会いの素晴らしさを感じました。

ねこねこさんへ

あのチンピラ君が、唯一受け入れた猫です。
普通なら興奮して追いかけまわして大変なんですが、チビ太を家に入れた日から、唸ることもなく無視していました。
その後、チビ太がじゃれるようになると舎弟教育が始まりましたけどね(笑)
お嬢さんも親分と隊長に教育されているなら、そりゃお元気ですよ!

いたずらっこさんへ

チビ太がマリルを慕ってきたのは事実ですが、どうやらチビ太の生みの母がマリルのようなはちわれちゃんみたいで、チビ太が母猫と間違えて呼んでいたような気がします。
チビ太とそっくりな仔猫をつれて近所を歩いているのを何度も見かけました。
気のせいだろうが、事実だろうがあのチンピラくんが結んでくれたご縁です。
大事にします。

slavaさんへ

はい、このような経過で保護に至りました。
今度はチビ太の育児の思い出でも書きますね。

縁を結んでくれた猫もいれば、いつものように反対する誰かさんもいて、今度は姑息な脅しはしなかったのですが、ドブにしゃべり始めて3日目くらいから一緒にチビ太を探してくれました。

鍵コメさんへ

訪問&コメントありがとうございます。
私もまたお邪魔させていただきます。

ニヤキキさんへ

生みの母と間違われたマリル、ただで抗生物質の錠剤をくださった獣医さん、文句たれながらも一緒に探してくれたseikoパパ、みんなのおかげでチビ太は元気に過ごせています。
足のない、真黒な猫は忌み嫌われるかと危惧しましたが、「黒ネコちゃんは幸福を呼ぶよ」と私の母も、となりのおばちゃんも「この子は大事に育てなさいね」と励ましてくれて、本当に周囲の理解とか協力に恵まれた子です。
こんな子少ないと思います。

No title

チビ太ちゃんとの出会いはそうだったんですか。
でも ただで薬をくださった獣医さんも優しいですよね^^
どぶに向かって 独り言を言ってる女性の図・・・(笑)
確かに 知らない人が見たら
「とうとうプッツン来たか・・・」
って思われるかも(゚m゚*)
でも そのがんばった甲斐あって今チビ太ちゃんがこうやって
いてくれるんですもんね♪
すごくいいお話を聞かせていただいてありがとうございます♪
引っかいたりかんだりするのは チビ太ちゃんの愛の表現なのかも``r(^^;)

とら。主さんへ

本当に通りすがりの人が、不思議そうにというか怪訝な顔で、私を見ながら通り過ぎていましたからね~(笑)
そのうち通報されるんじゃないかと思いましたよ。
だから短期間に終了したくって、チビ太が私の座っている真下で餌を食べるようになって、2回目に拉致して動物病院に強制連行しましたよ。
噛みついたり引っ掻かれたりするのを覚悟で抱きかかえたんですが、ぶるぶる震えて鳴いていただけで助かりました。
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参加してます
ぽちっと、よろしくね♪
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Author:chibitamama
チビ太:2001年春生まれのデブでヘタレな黒猫。2019年10月22日に18歳でお星様に。
seiko:2005年8月から家族になったシャムっぽい猫。2022年3月11日に22歳でお星様に。
チビ太ママ:犬好き母ちゃん。怪我をしていたチビ太をカンガルーのように袋に入れて育てた。
seikoパパ:変な日本語を喋る純粋な日本人。その言葉はseikoにしかわからない。

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